■宗教的な意味合いを持つお接待

遍路の道中で地元の見知らぬ人から飲食物を差し出されることがあります。これは「お接待」と呼ばれるもので、四国八十八箇所の巡礼にまつわる風習のひとつです。実はこれにも宗教的な意味合いが込められています。ただ単に親切心だけで行っているのではないようです。地元民にとってはお遍路さんは弘法大師の代わりのような存在なのだそうです。お遍路さんは尊い存在なのです。ですから、巡礼中のお遍路さんをねぎらい、飲食や宿泊場を提供することにより、自らもまたお参りをしているという信仰です。このような背景を考えると、巡礼者は地元民の「お接待」を無下に断ったりするのはとても失礼な行為になるのではないでしょうか。お接待を受けたら素直に受ける、これはお遍路さんの行為としてとても自然なものです。遠慮する理由はなにもありません。しかし、いくら地元民の無償の支援だとしても、受けるだけ受けて何もしないというのは、お接待の背景を考えるとあまり薦められないことです。お接待をする側も信仰心から行っています。それに対して「弘法大師」は何もしないでしょうか。風習としてお接待を受けた時には「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」と唱え、納め札を一枚手渡します。近年、このお接待がマスコミなどで報道された影響で、所持金を持っていなくとも四国を巡礼できると勘違いする人が増えていると聞きます。中には、受けて当然という態度をとったり、お接待を強要したりする極端な例も報告されています。このお接待は一種の宗教的儀礼の側面を持っており、する側も受ける側も宗教的行為を行っていることを十分理解しておく必要があります。

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